LINE ID連携とは|顧客データと友だちを紐付けて活かす方法

LINE ID連携とは|顧客データと友だちを紐付けて活かす方法

LINE公式アカウントの友だちは、着実に増えています。けれども、その一人ひとりが自社のどのお客様なのかは、企業側からは分かりません。

そんな状態に、心当たりはないでしょうか。

自社にはECの会員データも、店舗の購買データもあります。それなのにLINEでは、全員に同じお知らせを送るしかありません。データはあるのに、届け方だけが「全員一律」のままという状態です。

この分断は、お客様の同意を前提に、自社の顧客データとLINEの友だちを一人単位で結び付けることで解消できます。本記事では、その仕組みと実際にできること、そして事例を、専門用語をできるだけ使わずに解説します。

目次

友だちは増えた。でも、そのうち誰が自社の会員かは分からない

LINE公式アカウントの運用は、まず友だちを増やすところから始まります。店頭のPOP、レシート、ECの購入完了画面。導線を整えるほど、友だち数は伸びていきます。

ところが数が増えるほど、「この友だちはどういう人たちなのだろう」という問いに答えられなくなります。LINE公式アカウントが標準で持っているのは、LINE上の情報だけだからです。友だちになった日、メッセージの開封、リンクのクリック。それらは分かっても、その友だちが自社の会員名簿のどの行に当たるのかは分かりません

その結果、配信は最大公約数になります。昨日買ってくださったお客様にも、一年ご無沙汰のお客様にも同じセール告知を送り、開封率とクリック率を眺めて一喜一憂することになります。

ある大手アパレル企業では、LINEを入り口にした会員登録で会員数そのものは増えている一方、お客様がLINEに「通知が届く場所」以上の価値を感じられていない、という声が聞かれました。

友だちが増えることと、お客様との関係が深まることは、同じではありません。増えた友だちを「自社のお客様」として見分けられる状態が要ります。

顧客データとLINEをつなぐと、配信はこう変わる

自社の顧客データとLINEがつながると、いちばん大きく変わるのは日々の配信です。ここでは、家具やインテリアを扱う店舗を例に見ていきます。

場面つながっていないときつながったあと
配信の宛先友だち全員、またはLINE上の属性のみ会員ランク・購買履歴・来店店舗などで絞り込める
配信の中身全員に同じセール告知誕生月のお客様へお祝い、購入商品に合わせた提案
購入・来店のあと追いかけられない数日後にお手入れの案内、数週間後に関連商品の提案
ご無沙汰のお客様見分けられない最終購入日を条件に、掘り起こしの配信ができる
成果の見え方開封率・クリック率まで配信をきっかけに誰が来店・購入したかまで

たとえば、ソファを購入されたばかりのお客様に同じソファをおすすめしても喜ばれませんが、お手入れ用品やラグのご案内なら次の来店理由になります。「全員に送る」を「必要な方にだけ送る」に変えると、配信の総量はむしろ減ります。

関係のないお知らせが届かなくなることは、長く友だちでいていただくうえでも大切です。配信できる通数と費用はLINE公式アカウントの料金プランで決まるため、宛先を絞ることはコストの見直しにも直結します。

ここまで専門用語はひとつも出てきていませんが、これを実現するには前提がひとつだけあります。LINEの友だちと自社の顧客データを、一人単位で結び付けておくことです。次章で、その仕組みを見ていきます。

つなぐ仕組みの正体——LINEログインと「ID連携」

前章の前提であるこの紐付けを、実務では「ID連携」と呼びます。

ID連携とは、自社の会員IDとLINEの友だちを1対1で結ぶこと

ID連携とは、自社の会員IDと、LINEが発行する友だち一人ひとりの識別子(LINEユーザーID)を、1対1で対応付けておくことです。

ひとことで言えば「名寄せ」です。会員名簿と友だちリストに、共通の背番号を振る作業と考えてください。

なお「ID連携」は公式の名称ではなく、相当する公式機能はMessaging APIの「アカウント連携」です。本記事では、実務でよく使われる呼び方に従います。

公式ドキュメントのアカウント連携では、企業側がLINEから連携用のトークンを受け取り、それを含むリンクをトークでお客様に送ります。お客様がリンクを開いて自社サービスにログインすると、会員IDとLINEユーザーIDが結び付きます。

お客様の操作は、実質「リンクを開いてログインする」だけです。すでに会員の方はログインで結び付き、まだ会員でない方にはその場で登録していただく導線も用意しておきます。

LINE公式アカウント・LINEログイン・LIFF/LINEミニアプリの役割分担

紐付けの話では、いくつもの名前が同時に出てきます。役割を1枚に整理します。

名前役割紐付けでの立ち位置
LINE公式アカウント企業がLINE上に持つアカウント。メッセージ配信やトークの窓口紐付いたデータをもとに、実際にメッセージを届ける場所
Messaging APILINE公式アカウントを外部のシステムとつなぎ、メッセージの送受信などを行うための接続口公式の「アカウント連携」はここにある。LINEログインのチャネルがなくても連携できる
LINEログイン自社のサービスやサイトに、LINEアカウントでログインできるようにする仕組み。「ソーシャルログイン」とも呼ばれ、LINEヤフーが無料で提供LINEアカウントを使って、自社サービスへログインしていただく入口。この経路を使う場合は専用の「チャネル」(機能ごとに用意する接続の単位)が要る

連携の経路は一本ではありません。LINEログインを使う道と、Messaging APIだけで完結する道があり、どちらを選ぶかで必要になるチャネルが変わります。

なお、LINEユーザーIDはチャネルを束ねる「プロバイダー」単位で共通になるため、プロバイダーが分かれていれば、同じお客様でも別のIDとして扱われます。

紐付けの画面をLINEの中で表示する場合は、この3つに加えて「LIFF」と「LINEミニアプリ」が関わります。LIFFはLINEヤフーが提供するWebアプリのプラットフォーム(土台)で、その上で動くのが会員証・予約・クーポンなどの画面を提供するLINEミニアプリです。

LINEヤフー社は、この2つを将来的にひとつのブランドへ統合する方針を示しており、これから作るならLINEミニアプリとして作るのが基本です。詳しくはLINEミニアプリとはで解説しています。

お客様の同意なしにはつながらない

LINEユーザーデータポリシーでは、お客様の個人情報を収集・利用・開示する際に、あらかじめ同意を得ることが求められています。紐付けは、お客様がログインで意思を示して初めて成立します。

LINEログインを使う場合は、途中でLINEの同意画面が表示されます。企業側が受け取る情報(プロフィール情報など)が示され、お客様が許可を選んで初めて先へ進みます。

自社側で新たに伺う情報については、これとは別に、自社のプライバシーポリシーに沿った同意をいただく形になります。

紐付いたデータで、実際にできること

紐付けが済むと、LINEの使い方は大きく変わります。代表的な3つを挙げます。

セグメント配信とOne to Oneのコミュニケーション

まず、配信条件に自社のデータを使えるようになります。会員ランク、最終購入日、購入カテゴリ、来店店舗。組み合わせるほど、宛先は細かく絞れます。

配信そのものだけではありません。リッチメニューをお客様ごとに出し分けることもできます。同じ画面を開いても、会員ランクや直近の購入によって表示される内容が変わる、という形です。ここでいうOne to Oneも、個別のチャット対応ではなく、中身の出し分けを指します。

一斉配信をやめる必要はありません。全員に届けたいお知らせは全員に、出し分けたいものは出し分けます。同じ運用の中に両方を置けます。

デジタル会員証と店頭POSで購買データをつなぐ

実店舗をお持ちなら、紐付けの入口として分かりやすいのがデジタル会員証です。会計時にLINEミニアプリの会員証を提示していただくだけで、アプリのインストールもカードの携帯も要りません。

この会員証を店頭のPOSで読み取ると、誰が、いつ、何を購入したかが、LINEの友だち情報と結び付いた自社側の顧客データとして貯まっていきます

貯まる先はLINEではなく、自社が管理するデータベース側です。LINEは、そのデータをもとにお客様と接点を持つための窓口という位置づけになります。

既存の基幹CRM・EC・POSとつなぐ

すでに基幹のCRMやECカート、POSをお使いなら、置き換える必要はありません。外部のCRMや基幹システムに蓄積されたデータと連携し、LINEの友だち情報と紐付けて一元的に扱うという形が取れます。

考え方としては、LINEを「新しいデータの入口」として既存の仕組みに足す形です。会員証や予約、アンケートで生まれたデータを既存側へ渡し、既存側の購買履歴や会員ランクを配信条件として受け取ります。

事例:LIVING HOUSE.様——紐付けが生んだ「配信→再来店→次の商談」

ここまでの話が実際にどう動くのかを、家具・インテリアを展開するLIVING HOUSE.様の事例で見ていきます。

LIVING HOUSE.様では、LINEミニアプリの会員証を店頭のPOSで読み取り、購入データとanybotの顧客データを連携しています。

これによって、家具購入にいたるまでの雑貨購入の傾向や、家具購入後の再来店の傾向といった、それまでブラックボックスだった情報が可視化されました。

もうひとつの軸が「顧客カルテ」です。蓄積されているのは、家族構成、年齢、戸建てかマンションかといった住まいの情報や間取り、好みのテイスト、ご予算。新築のお客様であれば、壁や床の色まで記録されます。

これらはPOSにもECにも自動では貯まらない、接客のなかで伺った情報です。そのまま次のご提案の材料になります。

紐付けの入口も、よく考えられています。各店舗スタッフの名刺にはQRコードが印刷されており、スタッフごと・店舗ごとのパラメーターが付与されているため、お客様が登録した時点で担当スタッフと店舗が自動で紐付きます。

「〇〇店の誰々さんとつながっているお客様」になるため、お客様に「登録時に店舗を選んでください」とお願いする必要もありません。

大元のアカウントは1つでも、店舗スタッフは自店舗のお客様情報しか見えない権限管理も設計されています。

※ 店舗単位のアクセス制御は、ご要件に応じて別途専用の開発が必要となる場合があります。

これらが噛み合うと、来店の連鎖が起きます。ラグを購入されたお客様にクーポンを配信したところ、そのクーポンを持ってディフューザーを買いに再来店。接客中の会話から、ソファを新規でご検討中のお客様として情報が登録されました。

配信が来店をつくり、来店が接客をつくり、接客が次の商談につながります。LIVING HOUSE.様は、これを「LINE配信をきっかけにお店へ足を運んでいただき、私たちの強みである実店舗での接客へと繋ぐことができた、理想的な成功体験でした」と表現されています。

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進める前に決めておくこと

紐付けは、自社でゼロから開発する道も、既存の基盤を使って進める道もあります。どちらを選ぶ場合でも、先に決めておくと、社内の相談もベンダーへの相談も一気に進みやすくなる項目があります。

技術の話に見えますが、いずれも決めるのは事業側です。7つに絞って挙げます。

  • どの経路でつなぐか — 前章のとおり、LINEログインを使う道とMessaging APIだけで完結する道があります。既にLINEログインを自社サイトで使っているかどうかが、最初の分かれ目です
  • どこまで同意をいただくか — どの画面でどの範囲の同意をいただくか。LINEユーザーデータポリシーの要件を満たす形にしておきます
  • どこで解除・退会できるようにするか — 紐付けをやめたいお客様のために、どの画面から解除できるようにするか、解除後に手元のデータをどう扱うかを決めておきます
  • お客様を「1人」と数える単位 — 複数のブランドや店舗を運営している場合、どこまでを同じお客様として扱うのか。プロバイダーの分け方でIDの共通範囲が変わるため、あとから変更しにくい論点です
  • 何をキーに名寄せするか — 会員番号か、電話番号か、メールアドレスか。既存会員の方と、まだ会員でない方とで入口をどう分けるかもここで決まります
  • 自社側に用意するもの — 紐付けには、LINEのユーザーIDと自社の会員システムを突き合わせるためのAPIが必要になります。ポイントを扱う場合は、その付与と照会のAPIもあわせて検討します
  • 変えたいときに、誰がどれくらいで変えられるか — 配信条件を1つ足す、会員証の見た目を変える。こうした変更を自社の管理画面でできるのか、開発への依頼が要るのかを確認しておきます。LINE側の仕様やポリシーも更新されるため、公開後も手を入れ続ける前提で考えます

とくに最後の項目は、運用が始まってから効いてきます。着手前に確認しておく価値があります。

LINE公式アカウントの連携全般は、LINE公式アカウントのAPI連携ガイドで解説しています。

anybot が「紐付け → CRM → 配信」を同じ基盤で完結できる理由

紐付けから先を少ない手数で実現したい場合の選択肢のひとつが、エボラニが提供するanybotです。

紐付けからデータの蓄積、配信までを同じ基盤で

anybotの特徴は、会員証や予約といった体験の提供、顧客データの蓄積、セグメント配信までを同じ基盤の上で扱える点にあります。

入口となる会員証も、貯まったデータを収める顧客カルテも、そのデータを条件にした配信も、別々のツールをつなぎ合わせる必要がありません。LIVING HOUSE.様の事例のとおり、店頭のPOSや外部の基幹システムとの連携も、この基盤に載ります。

自社で持つ範囲と、任せる範囲を選べる

もうひとつは、実装のハードルです。紐付けの進め方は既存システムの構成によって変わるため、設計の段階から一緒に組み立てていく形になります。

社内に手が足りない場合は、企画から運用までをお任せいただけるフル代行プランもあります。難しいのは作ることより、運用を続けることだからです。

提供元のエボラニはLINEヤフーのテクノロジーパートナーに8年連続で認定されており、anybotはこれまでに17,000社以上に導入されています。

始め方は3ステップ

検討は、大きく3つのステップで整理すると迷いにくくなります。

  1. 持っているデータを棚卸しする — 会員情報、購買履歴、来店履歴がどこにあるかを洗い出します
  2. 紐付けの入口を決める — 紐付けが成立するのは、お客様が自社の会員としてログインするか、新しく会員登録をする瞬間です。デジタル会員証の発行や会員登録フォームが代表例です。予約・アンケート・キャンペーン応募を入口にしたい場合は、その導線に登録またはログインのステップを組み込みます。まずは1つに絞ります
  3. 配信と運用の形を決める — どの条件で何を送り、誰が運用するのか(自社運用か代行か)を決めます

紐付けそのものは、お客様お一人につき一度成立すればそれで完了です。段階的に増やしていくのは、そこに接続するデータのほう(POSの購買履歴、ECの注文履歴など)だと考えてください。入口を1つに絞って始めるほうが、現場に定着しやすくなります。

紐付けてもらうための、ひと押しを用意する

入口を用意しても、お客様が自分から連携してくださるとは限りません。実際のご支援では、連携そのものに「進む理由」を持たせる設計をよく採ります。

  • 連携済みの方だけが進める、先行予約や限定商品の受付をつくる
  • 連携したあとに初めて使える機能を用意する
  • 連携を促す企画を単発で終わらせず、内容を入れ替えて継続的に回す

いずれも「連携すると何がうれしいのか」を、その場で示す形です。入口をどこにするかと同じくらい、そこに進む理由をどう作るかが効いてきます。

目的別の使い分け

関心が別の方向にある場合は、次の記事が近道です。

よくあるご質問

LINEログインの利用に費用はかかりますか?

LINEログインは、LINEヤフーが無料で提供するソーシャルログインサービスです。ただし、メッセージ配信にかかる費用や、紐付けの仕組みを構築・運用する費用は別途必要です。

すでにある会員データベースと、あとから紐付けられますか?

はい。既存の会員の方には、ログインでご本人であることを確認いただいたうえで、会員IDとLINEユーザーIDを結び付けます。anybotでは、この紐付けの設計からご相談いただけます(実現方法は既存システムの構成によって異なります)。

お客様の同意はどう取ればよいですか。個人情報の扱いも心配です。

LINEユーザーデータポリシーでは、個人情報の収集・利用・開示にあたって事前の同意が求められます。実務では、LINEログインの同意画面で企業が受け取る情報が示され、お客様が許可して初めて紐付けが成立します。自社側で新たに伺う情報は、これとは別に自社のプライバシーポリシーに沿った同意をいただきます。

デジタル会員証を持っていない企業でも始められますか?

始められます。会員証は紐付けの入口のひとつにすぎません。紐付けが成立するのは、お客様が自社の会員としてログインするか、新しく会員登録をする瞬間なので、会員登録フォームでも同じことができます。

予約やアンケート、キャンペーン応募も、その導線に登録またはログインのステップを組み込めば入口になります。逆に、友だちのまま回答・応募できる形にしていると、LINE側の情報は得られても自社の会員データとは結び付きません。実店舗をお持ちでない事業でも考え方は同じです。

自社にどの手段が合うのか、判断できません。

お持ちのデータや店舗の有無、運用にかけられる体制によって、適した進め方は変わります。「まず何から手をつけるべきか」の整理段階からご相談いただけますので、導入相談からお気軽にお声がけください。現状をうかがったうえで、進め方をご提案します。

まとめ:増えた友だちを、自社のお客様として見分ける

LINEの友だちが増えても、その一人ひとりが自社のどのお客様なのか分からなければ、配信は全員一律のままです。

自社の顧客データとLINEの友だちを、お客様の同意のうえで1対1に結び付けます。この一手間で、LINEはお知らせを配る場所から、一人ひとりに向き合う場所へと変わります。

anybotでは、紐付けの設計から会員証・顧客カルテの運用、既存システムとの連携、配信のフル代行まで、事業のフェーズに合わせてご提案しています。「まず何から手をつけるべきか」の整理段階からご相談いただけます。

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