LINE×Salesforce連携の進め方|HubSpot・kintoneも含めて解説

「LINE公式アカウントで配信はしているけれど、顧客データは Salesforce や HubSpot、kintone で別に管理している」。そんな運用になっていないでしょうか。
LINE で集まった情報を CRM に手で入力し直すと、手間がかかるうえに更新の漏れも起きやすくなります。
本記事で扱うのは、トークのやり取りを CRM に記録する話ではありません。LINE 上(LINEミニアプリを含む)で起きた会員登録・予約・アンケート回答といった、お客様の行動データを、すでにお使いの CRM とつなぐ進め方です。
連携先の CRM が決まっている方に向けて、データの向き、連携の手段、事前に決めておくことを順に解説します。
LINE上の行動データがCRMに入ると、何が変わるのか

つながっていない状態では、LINE 上の反応は配信ツールや LINEミニアプリの管理画面に残り、CRM には担当者が手で入力した分しか入りません。
営業担当が開く顧客情報には、そのお客様が LINE で予約したことも、アンケートにどう答えたかも載っていません。同じお客様なのに、部署ごとに見えている姿が違う状態です。
つながると、CRM のレコードに LINE 上の行動が載り、営業・カスタマーサポート・マーケティングが、同じ顧客像を見ながら動けるようになります。
逆向きに、CRM 側で担当者が状態を変えたことをきっかけに、LINE で通知を送ったり表示を切り替えたりする使い方もあります。
LINE やチャットボットで受け付けた顧客情報を CRM に自動で保存する、アンケートの回答を CRM 側でセグメント管理する、といった使い方ができます(連携機能のお知らせ)。
LINE で顧客管理を実現する手段そのものを一から比べたい方は、公式オプション・外部ツール・LINEミニアプリの使い分けを整理した記事をご覧ください。
LINEとCRMのあいだで連携するデータと、その向き
LINE 上のお客様の行動を CRM に自動で反映するには、どのデータを、どちら向きに、どのタイミングで連携するかを先に決め、それに合う手段を選ぶのが近道です。
本記事では、一方のシステムで発生・更新したデータを、もう一方のシステムに自動で反映することを「連携」と呼びます。
手段を先に決めてしまうと、連携したいデータがその手段で扱えるかどうかを、あとから確かめることになります。まずは向きを3つに分けて整理します。
| 向き | 連携するデータの例 | 主な使い道 |
|---|---|---|
| LINE → CRM | 友だち追加(LINE公式アカウント側)、会員情報の登録・更新、予約・キャンセル、アンケート回答(画像のボタンをタップして答える形式を含む) | CRM のレコード更新、営業・サポート担当が見る顧客情報の充実 |
| CRM → LINE | CRM 上で担当者が登録・変更した内容、状態(ステータス)の変更 | LINE での通知、LINE 上の表示やリッチメニューの切り替え |
| 双方向 | LINE 側での予約の申し込み・キャンセルと、CRM 側での予約枠や状態の変更を、両方で扱う | どちらのデータを正とするかを、あらかじめ決めておく必要がある(後述) |
表の LINE から CRM への例のうち、会員情報・予約とキャンセル・アンケート回答は、LINEミニアプリと Salesforce を双方向でつないだ実際の事例で、LINE 側から送っていたデータです(事例の構成は後述)。
連携のタイミングにも2種類あります。ひとつは、お客様の操作や CRM 側の更新をきっかけに、その場で送るものです。
もうひとつは、決まった時刻にまとめてデータを取得し、その結果をもとに処理するものです。たとえば、当日に予約のあるお客様を朝に取得して、LINE でリマインドを送るといった使い方です。実際に双方向でつないだ事例でも、この2つは用途ごとに使い分けられていました。
さらに欠かせないのが、LINE 側のお客様と CRM 側のレコードが同じ人だと分かるようにする「キー」です。基本の考え方は、LINE 側と CRM 側で、互いの ID をどちらのレコードにも持たせることです。そうしておけば、どちらのシステムで更新があっても、正しいお客様のレコードに届けられます。
LINE 側の ID には、LINE公式アカウントや LINEミニアプリで取得するユーザーIDを使います(友だち検索に使う LINE ID とは別物です)。同じお客様でも、LINE 側の設定の単位(プロバイダー)が違うと値が変わる点に注意が必要です。紐づける仕組みの詳細は、ID連携の仕組みと活用法を解説した記事で扱っています。
LINEとCRMを連携する方法 ― 手段の見取り図と選び方
データと向きが見えてきたら、次はつなぐ手段です。ここでは手段の一覧と、選ぶときの視点の順に整理します。
連携の手段を見渡す
LINE公式アカウントの API 連携そのものの基礎は、API 連携の仕組みと外部システムとの接続パターンをまとめた記事で解説しています。本記事では、CRM とつなぐ手段を運用の目線で並べます。
| 手段 | データの向き | 更新のタイミング | 項目を増やすときの対応 | 向くケース |
|---|---|---|---|---|
| CSV の書き出し・取り込み(手動/自動) | 書き出し・取り込みごとに一方向 | まとめて | 列を足し、取り込み設定を合わせる | API 連携の費用が合わない、扱う頻度が低い |
| システム間をつなぐ連携サービス(iPaaS) | 設定した処理(フロー)ごとに一方向 | きっかけの発生時、または定期 | 連携サービス側の設定を変える | 決まった項目を定型で連携したい |
| CRM の公式マーケットプレイス(Salesforce の AppExchange など)で提供されている連携アプリ・プラグイン | アプリの仕様による | アプリの仕様による | アプリが対応している項目の範囲内 | CRM の画面や顧客データを起点に、LINE のやり取りや配信を扱いたい |
| LINE 配信ツールが備える外部連携機能 | ツールの仕様による | ツールの仕様による | ツールが外部に出せる項目の範囲内(受け取る CRM 側の設定・開発も必要) | 配信ツール上の属性や反応(タグ・回答など)を CRM に渡したい |
| LINEミニアプリの開発プラットフォーム側での API 連携(標準の拡張機能+要件に応じた個別開発) | 一方向〜双方向(要件による) | その場、または決まった時刻 | 設計による(増減を前提に作ると直しやすい) | 予約や会員情報など、LINE 上の行動データを CRM と連携したい(双方向を含む) |
表は優劣を示すものではなく、向き・タイミング・項目を増やすときの対応の違いを並べたものです。
CSV の書き出し・取り込みは、API 連携の費用が合わない場合や、頻度の低いデータを扱う場合の選択肢になります。
自社に合う手段を選ぶときの視点
「どれを使えばよいか」は、次の問いに順に答えていくと絞り込めます。
- 連携したいのは、トーク上のやり取りか、LINE 上の行動データか
- 一方向で足りるか、CRM 側の変化を LINE に返す必要があるか
- 連携する項目は今後増えたり減ったりするか。そのとき誰が直すか
- データの量と頻度が、CRM 側の API の上限にかかりそうか(Salesforce の例は後述)
- 社内に、連携を開発・保守する体制があるか
トークの記録を CRM で見たいのか、行動データを CRM と連携したいのかで、候補になる手段は変わります。そのうえで、向きと体制の条件を重ねて絞り込みます。
Salesforceとつなぐ ― 標準機能でのリード登録と、個別開発による双方向連携
標準の拡張機能でできること ― リードとして登録する(一方向)
anybot の標準の拡張機能では、チャットボットの会話フローで受け付けた内容を、Salesforce のリードとして登録できます。向きは anybot から Salesforce への一方向です。
Salesforce 側では、外部のサービスから接続するための設定を行い、認証情報を用意します。anybot 側では拡張機能から Salesforce を選び、受け付けた項目とリードの項目を対応づけます。
実際の設定項目は、anybot の使い方ガイドで確認できます。Salesforce 側の画面や設定の名称は変わることがあるため、最新の手順は導入時にご確認ください。
要件に応じた個別開発で、双方向に組んだ実績
標準機能とは別に、anybot では要件に応じた個別開発を組み合わせて、数万人規模の会員が利用していた LINE 上のサービスで、Salesforce と LINE を双方向でつないだ実績があります。
特徴的だったのは、CRM を使う現場の担当者が、LINE で送る文面を Salesforce 上で書き換えられるようにした点です。LINE の通知文を Salesforce 側の項目に持たせ、お客様の状態に応じて出し分ける設計にしました。
そのための仕組みを平たく言うと、次の3つです。
- CRM で状態が変わったら、LINE に知らせる:Salesforce の自動送信機能(アウトバウンドメッセージ)と、フロー(レコードの変化などをきっかけに処理を自動で実行する仕組み)から、anybot が通知を受け取る
- LINE でお客様が操作したら、すぐ CRM に書き込む:anybot から Salesforce へ、REST API で書き込む
- CRM の情報を、LINE の画面に表示する:外部のシステムを参照してデータを取り込む仕組みで、Salesforce のデータを検索する
Salesforce 側のデータの置き場所には、標準で用意されているオブジェクト(リード、キャンペーン、キャンペーンメンバー)と、要件に合わせて追加したものを組み合わせました。
kintone・HubSpotとつなぐ場合

anybot の標準の拡張機能では、チャットボットや LINEミニアプリのフォームで受け付けた内容を、kintone のレコードとして自動登録できます。向きは anybot から kintone への一方向です。
設定では、kintone 側で発行した APIトークンなどを anybot の拡張機能に登録し、フォームの項目とレコードのフィールドを対応づけます。APIトークンは許可する操作をトークンごとに選ぶ仕組みのため、レコードを追加できる権限を含めて発行しておくことが前提になります。設定手順の詳細は、anybot の使い方ガイドをご覧ください。
HubSpot については、anybot は2022年のお知らせで、チャットボットや LINE で獲得した顧客情報を、Salesforce とあわせて HubSpot にも自動で保存できることを案内しています。専用の使い方ガイドは公開していないため、対象のデータや向きは要件を伺って個別に設計します。
どちらの場合も、双方向の連携や標準の拡張機能にない項目の連携は、要件に応じた個別開発の範囲になります。LINE 側のお客様と、kintone のレコードや HubSpot のコンタクトを結び付けるキーを先に決めておく点は、Salesforce と同じです。
外部CRM連携を始める前に決めておくこと

ここでは、数万人規模の会員が利用していたサービスで、anybot が Salesforce との双方向連携を構築した実績をもとに、着手前に決めておきたい論点を挙げます。
連携の実装は依頼先が担いますが、ここで挙げる問いの答えは、CRM を日々運用している社内の担当者にしかありません。依頼先に相談する前に社内で答えをそろえておくと、話が早く進みます。
技術的な用語が出てくる箇所は、依頼先に「この点はどうなっていますか」と確認する項目として使ってください。
どちらのデータを「正」とするか
互いの ID を持ち合う構成で、CRM にすでに LINE のユーザーIDを入れる項目があると、ID の置き場所が二重になります。どちらの値を正とするかを、つなぐ前に決めておきます。
重複したレコードの統合(マージ)を、どちらのシステムの役割にするかも決めどころです。CRM のレコードIDをほかのツールや集計用のシートが参照していると、既存のレコードを消して重複を解消することはできません。
選択肢の項目(Salesforce では選択リスト)の値も、LINE 側のフォームと CRM 側のどちらに合わせるかを決めておきます。
CRM側は変わり続ける前提で設計する
連携する項目は、今後も追加・削除される前提で作ります。anybot が双方向で連携を構築した案件でも、項目の増減への対応を最優先の課題として設計しました。
CRM 側で定期的な一括更新を行っているなら、事前に共有してもらいます。CRM の更新をきっかけに LINE 側へ通知を送る構成では、一括更新のたびに大量の通知が連携先に届くためです。CRM 起点で送る LINE のメッセージは、多くの場合、料金プランのメッセージ通数に数えられる点も押さえておきます。
入力ミスで連携が崩れないよう、CRM 側の入力規則(入力できる値を制限する設定)で防げるかも確認しておきます。
CRMの上限と、止まったときの動きを決める
この節は技術寄りの論点なので、依頼先に確認しておきたい項目として挙げます。
まず確認したいのは、データが多いときや利用が集中したときに、CRM 側の上限に引っかからないかです。Salesforce の場合、次の3点が上限にあたります。これは2026年9月時点の Salesforce の公式ドキュメントに書かれている仕様で、リリースに合わせて変わることがあるため、導入時に最新の値をご確認ください。また、kintone や HubSpot に同じ数値が当てはまるわけではありません。
- ログインの回数:1ユーザーあたり1時間に3,600回までという上限があります。リクエストのたびにログインし直すと上限に届きうるため、認証を使い回す設計にしておきます(Salesforce ヘルプ)
- 1回に取得できる件数:クエリで1回に返るのは最大2,000件で、それを超える分は続きを別途取得する仕様です。項目の種類によっては、これより少なくなります(Salesforce ヘルプ)
- 1日あたりの API 呼び出し回数:組織全体で上限があり、契約内容によって変わります(Salesforce 開発者向けドキュメント)
とくに件数の仕様は、「対象の一覧を一度に取得できる」前提で作らないことが大切です。一度に取得できる前提で作ると、2,000件を超えた分を取りこぼします。
次に、連携が止まったり、想定外の動きをしたりしたときの備えです。
- 連携先から応答が返ってこないとき:外部の API を呼び出す処理にタイムアウト(応答を待つ上限の時間)を設定し、連携エラーを誰にどう知らせるかを決めておく
- 通知が行ったり来たりしないか:双方向の場合、CRM に書き込んだ変更が CRM 側の通知の条件を満たし、書き込んだ側に返ってくる(ループする)ことがある。自分の書き込みによる通知を見分けて止める方法を決めておく
- 古いデータで上書きされないか:処理を順番待ちの仕組み(キュー)に載せると、順序が入れ替わって、古いデータで新しいデータを上書きするおそれがある
検証の進め方を決める
検証環境(本番の前に動作を確かめるための環境)と本番環境で CRM の設定がずれていると、検証で確かめた動きが本番で再現しないことがあります。本番に移す前に、両者の設定の差分をなくす計画を立てておきます。anybot が双方向で連携を構築した案件では、機能単位では設定を移せないため、設定一式をまとめて移す必要がありました。
テストデータを誰がどう作るかも決めておきます。CRM 側のデータの作り方は運用している側が知っているため、手順を共有してもらうと開発側も検証を進めやすくなります。
anybotで外部のシステムとつなぐ場合
anybot で外部のシステムとつなぐときは、標準の拡張機能と、要件に応じた個別開発を組み合わせて設計します。設定方法を製品サイトで公開している標準の連携先は、Salesforce、kintone、Google スプレッドシート、Microsoft 365 の Excel、メールでの送信、Slack への送信です。
外部 CRM との連携で anybot ならではの点は、行動データが生まれる場所そのもの(LINEミニアプリ)を持っていることです。会員登録・予約・アンケートといった画面を LINE 上に用意し、そこで生まれたデータを CRM に渡すところまでを一続きで設計できます。
顧客データと LINE を紐づけると、そのデータを配信の条件にも使えます。anybot では、ID連携で購買データと LINE を紐づけ、購入履歴をもとにセグメント配信を出し分けたところ、クリック率が平均と比べて約2倍になった実績があります。なお、これは外部 CRM との連携で得た数字ではありません。
CRM に限らず、LINEミニアプリを起点に外部のシステムとつないだ実績には、次のようなものがあります。
- 外部の集荷システムと連携し、LINE 上で入力するだけで依頼が完了する業務フロー
- LINEミニアプリの会員証と POS を連携し、購入金額に応じて会員ランクを付与する仕組み
- 外部の LP で会員かどうかを判定してから、LINE 上の予約ページへ進める導線
いずれも接続先に合わせて設計したもので、どのシステムともそのままつながるわけではありません。接続の可否や方法は、要件を伺ったうえで判断します。
標準機能にない連携は追加開発として、API 連携の費用が合わない場合は手動または自動の CSV 連携での代替も含めて、要件を伺ったうえでご提案します。CSV での代替では、集めた応募情報をまとめて書き出して社内の処理に回す運用や、チェックイン時に取ったアンケートを CSV で連携する運用の実績があります。
進め方は既存システムの構成によって変わるため、設計の段階から一緒に組み立てます。
提供元のエボラニは LINEヤフーのテクノロジーパートナーに8年連続で認定され、anybot は17,000社以上に導入されています。
LINE でできることを課題から一通り見たい方は、予約・会員証・集客・CRM連携までを13のシーンで整理した記事もあわせてご覧ください。
よくあるご質問
まとめ:データの向きを決めてから、手段を選ぶ
LINE と Salesforce・HubSpot・kintone をつなぐときは、次の3つの順で考えると迷いにくくなります。
- どのデータを、どちら向きに、どのタイミングで連携するかを決める
- 向き・データ量・項目の増減・社内の体制に合う手段を選ぶ
- どちらのデータを正とするか、止まったときにどう動くかを決める
anybot では、標準の拡張機能での連携から、要件に応じた個別開発まで、既存システムの構成に合わせてご相談を承っています。資料でできることの全体像をご確認いただくか、導入相談からお気軽にお声がけください。
