「お知らせを送るだけ」から脱却。プロレスリング・ノアがanybotで実現した、ファン行動の可視化とデータドリブンなマーケティング

株式会社CyberFightが運営するプロレス団体「プロレスリング・ノア」は、旗揚げ26年目を迎える歴史ある団体です。長年応援するコアファンに加え、近年はABEMAでの生中継やYouTube、SNSをきっかけとした若年層・ライト層のファンも増加しています。
「LINE公式アカウントを保有しているが、活用しきれていない」ー多くの企業が抱えるこの悩みを、同社も長年抱えていました。
その中で、LINEマーケティングツール「anybot」を導入し、ファン体験を軸にLINE運用を再設計。オンラインとオフラインを横断する形で実施したデジタルスタンプラリーは、コンプリート率47%と非常に高いエンゲージメントを記録しました。さらに、同時に実施したアンケートでは従来の10倍規模の回答を獲得。リアルなファン像の可視化が進み、データドリブンなマーケティング施策にもつながっています。
本記事では、ただの「お知らせ配信」から脱却し、ファン行動の可視化と熱狂を生み出す“ファン体験ポータル”へとLINEを進化させた裏側について、株式会社CyberFight プロレスリング・ノア事業部の花澤さまと小林さまにお話を伺いました。
- 課題
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- LINE公式アカウントが一方的な情報配信にとどまっていた
- 会場来場、コンテンツ視聴、グッズ購入などの行動データが分散し、ファンの全体像把握が困難だった。
- 伝えたい情報がある一方、ライト層には「何を見ればいいかわからない」というジャンル特有のハードルがあった。
- 施策
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- オンラインとオフラインを横断する「デジタルスタンプラリー」をVolume1~3で段階的に実施。
- アンケートによりファン理解のためのデータを継続的に取得。
- 成果
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- デジタルスタンプラリーのコンプリート率約47%。継続的なファン接点として定着。
- アンケートデータからリアルなファン像を可視化。
「お知らせを送るだけ」だったLINE公式アカウント

まず、anybot導入前のLINE公式アカウントの運用状況について教えてください。



ほぼ運用できていませんでした。LINE公式アカウント自体はあって、友だちも7,000人から8,000人くらいいたんですが、配信していたのは『何月何日に大会があります』というのを一斉でポンと送りつけるくらいでした。



SNS全体での情報発信は活発に取り組んでいらっしゃいますよね。それでも課題は感じていらっしゃったのでしょうか。



大会前にお伝えしたい情報は20本も30本もあるんです。選手のインタビュー、新しい選手が来ます、こんなイベントがあります、とか…。でもSNSではどうしても流れてしまう。
特にライト層のファンは『何を見ていいか分からない』という声もあって、プロレスというジャンルはそもそも楽しみ方のハードルが高いんですよね。運営側から『今これを見てほしい』という情報を、優先順位をつけてファンに提示できればいいのに…と常々思っていました。



データ面ではいかがでしたか?



ファンのデータが弊社のサイトにあり、ファンクラブにあり、動画配信サービスにあり…という状態でした。さらにチケットは外部のサイトで販売しているので、購入者のデータが弊社側に蓄積されない構造もあって。ファンの全体像が見えにくい状態でした。LINEを軸にファンの行動データを集約できたら、と考えていました。



情報の届け方とデータの集約、両方を解決する手段としてanybotを選ばれたのですね。



そうですね。決め手は、私たちが描く『ユーザージャーニー』をLINE上で実現できる自由度の高さでした。大会前から事後までの一連のストーリーを、複雑なミッション形式のスタンプラリーで自由に設計できる。これは従来のLINE公式の機能だけでは難しかった部分です。ファンの方に楽しんでもらいながら情報を届けることと、ファンの行動を可視化することを、同時にひとつのツールで実現できる――これが導入の最大の理由でした


anybotで実現した「デジタルスタンプラリー」―ファンに届く情報設計と、行動データの蓄積
これらの課題を解決するため、同社が展開したのが、オンラインとオフラインを横断する「デジタルスタンプラリー」です。anybotの自由度の高さを活かし、現在までにVolume1からVolume3まで段階的に展開しています。
オンラインとオフラインを横断するミッション設計
スタンプを獲得するためのミッションには、複数のチャネルにまたがる多様な行動が組み込まれています。
オンラインのミッションとしては、大会スケジュールの確認、YouTubeでの試合ハイライト視聴、ECサイトで大会グッズのチェック などを設置。ファンが「観に行く前に知っておくべき情報」を、運営側が伝えたい優先順位でファンに届けられる構造になっています。
オフラインのミッションは、会場に掲示されたQRコードの読み取り、会場周辺の対象店舗での購入など。デジタル完結のVolume1・2を経て、Volume3ではこのリアル店舗との連動を本格的に組み込み、ファンが実際に会場を回遊する設計に踏み込んでいます。デジタル上の行動とリアル空間での行動を一つのスタンプラリーの中で繋ぐことで、オンラインで興味をもったファンが自然と会場や店舗へ足を運ぶ流れを生み出しています。


スタンプラリーと連動した属性データの取得
スタンプラリーへの参加時には、性別・居住地・好きな選手・観戦経験・ファンクラブ加入状況といった属性アンケートも実施。ファンに楽しんでもらいながら、運営側にとっては今後のマーケティングに欠かせないデータが蓄積されていく構造です。



anybot導入前には会場で紙のアンケートを配っていましたが、回答数は毎回100件ほど。その10倍規模の属性データがLINE上で集まるようになりました。
「行動が数字で見える」マーケティング ーデータで見えた、リアルなファン像
anybotの導入は、ファンの参加意欲を高めるだけでなく、これまで見えていなかったファンの姿を明らかにしました。
「ユーザージャーニー」の確立と高い参加率
スタンプラリーを通じて、ファンが「大会前から当日、大会後まで」継続的にコンテンツに触れる習慣が生まれました。スタンプラリーのコンプリート率は約47%と非常に高い水準を記録しています。Volume1から3まで毎回安定して高いコンプリート率を維持できており、施策が一過性のキャンペーンではなく、「ファンとの継続的な接点」として定着しつつあります。


解像度の高いデータ可視化
蓄積されたアンケートデータを分析した結果、「観戦経験は91%あるが、ファンクラブ未加入者が56%も存在する」という事実が判明し、今後のアプローチ対象が明確になりました。「観戦には来てくれているのに、ファンクラブには入っていない」ーこの層は、適切なコミュニケーションで深いファンへと育てていけるターゲットです。
また、「グッズの売上が必ずしもその選手の純粋な人気(好きな選手)とは限らない」といった、リアルなファンの心理もデータとして可視化されるようになりました。グッズは試合の文脈や雰囲気で「ネタ的に」買われるケースもあるため、売り上げだけでは真のファン人気は測れないーこの発見は、選手プロモーションやコンテンツ制作の判断軸を、より高い解像度で設計することを可能にしています。



インプレッション数など実態が見えにくいSNSとは異なり、anybotを使えば『配信がどれだけ開封され、クリックされ、購入に繋がったか』という成果が明確にわかります。配信→開封→クリック→購入という一連のジャーニーが数字で追えることで、施策の効果が確信を持って判断できるようになりました。行動の可視化がもたらす確実な手応えが、次のマーケティング施策へのモチベーションとなっています。
今後の展望:次世代の観戦体験へ向けて





直近で取り組みたい施策について教えてください。



もう少し友だち数を伸ばしたいですね。まだまだ伸びしろがあると感じています。anybotには会場でのお友だち追加に使える機能も揃っているので、これらを組み合わせて『増やしながら、解像度も上げていく』取り組みをしていきたいです。
また、蓄積されたデータを活用して、ファンクラブ未加入層に対するパーソナライズされた入会促進施策を展開していきたいと考えています。『観戦経験はあるがファンクラブ未加入』という層が約56%もいることが見えてきたので、ここへのアプローチは具体的に動き出しています。



今後、LINE公式アカウントをどのような存在にしていきたいですか?



LINEはみなさんが生活の中で開く頻度が一番多いツールなので、ここをファンとの入り口にしたい。会場にきてくれた人もWebで知ってくれた人も、最終的にはLINEに来てもらって、そこから各サービスに広がっていく。ポータルサイトのような形で使っていきたいですね。YouTubeショートやTikTok等の縦型動画コンテンツとの連携をさらに深め、若年層がより直感的に楽しめる『次世代の観戦体験』をanybotと共に創っていくことが目標です。



最後に、かつての御社のようにLINEを活用しきれていない企業の方へメッセージをお願いします。



LINEで何ができるか分からなくて手をつけられない、というのは多くの企業が抱えている悩みだと思います。でも、いざやってみると効果が数字で見えてくるんですよね。開封されて、クリックされて、購入につながる、というジャーニーが追える。これが見えると、運用のモチベーションが全く変わります。
anybotは思いついたアイデアをほぼそのまま形にできます。
実際、Volume1の立ち上げから現在のVolume3まで、社内では2名の兼任体制で運用してきました。
専任を置けないチームでも回せる理由は、ツールの使いやすさに加えて、anybotの担当者が施策のレビューや改善提案をしてくれるから。
『こういうことやりたい』と投げかければ、実現方法を一緒に考えてくれます。
自分たちだけで悩む時間がないというのは、リソースの限られたチームにとって本当に大きい。
『最初の一歩』を踏み出すのに必要なツールとサポートが揃っているので、長年動けていなかった企業ほど、得られるものが大きいと思います。
(公開:2026年4月、取材・編集/内藤萌 )








